道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

(詳細はお店のHPでご確認ください)
 ライブハウス・コタン
 ホームページはこちら
          

道草な話

 人と会うことは大切である。長い付き合いの友達だったりすると、メールやラインのやりとりだけでも充分通じ合うが、あまり面識のない人や一度も会ったことのない人とメールでやり取りしていると、不要な心配や怒りを抱くことになる。なぜかといえば、言葉だけでは情報が不足しているからである。本来、同じ言葉でも、人間関係や状況によって受け取り方は全く変わってくる。そのうえ文章だとものすごくそっけなくなる人もいる。そういう諸々が悪い方向に作用すると、トラブルに発展する。

 相手の人となりがわかっていると、同じ内容のメールを書くのでも相手によって書き方が変わってくる。簡潔な文章を好む人もいれば、丁寧な説明を好む人もいる。逆にすごくそっけない文書を送ってくるけど、会ってみたらとても親切な人で、ただ文章が苦手だったなんてこともある。そういう意味では、人と会うということは怖いことでもある。会ったばかりに嫌いになってしまったり、嫌われたりすることもある。でもこればっかりは仕方がない。運が悪かったと諦めるしかない。

 便利な世の中になって、電話やメールやチャットでのやりとりだけですんでしまうことが増えた。もともと出不精の僕には、大変ありがたいことである。ありがたいことではあるが、やはりむなしくなることもある。細かいニュアンスが伝わらない。言葉を投げかけた時の相手の表情や逡巡や困惑がわかれば、それに対して新たな言葉を投げかけられるのだが、それができないので、どうしてもやりとりが表面的になる。つれない返事をされても、そこに表情があると許せることもある。しかし文字だけでは腹を立てることになる。

 ビデオチャットなら表情が見えるかもしれない。でもいつも思うのだけれどそこに映っているのは本当の彼ではないし、本当の僕ではない。彼や僕に似た何かが会話しているのだ。

 そんなわけで、最近僕は人に会いたい。会えなくなる前に。