道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 今年の花見は、思いがけず大人数になった。例年は近所の公園にふらりと出かけて、ビールとじゃがバターくらい買ってボーッとしているのだが、今年は前夜から料理を仕込み、レジャーシートを購入し、天気予報をチェックするといった具合で当日を迎えた。参加する人の都合もあり、例年よりかなり開花予想が早いということもあって、日取りを少し早めにしたのだが、残念ながら当日は雨が降ったりやんだりで、桜もつぼみが膨らみ始めた程度であった。
 ところがいざ公園に行ってみると、もうすっかり花見モード全開である。屋台もすっかり出揃って、人々は思い思いに盛り上がっている。まあ花見というのは口実であって、公園でシートを広げて皆でわいわい酒を飲むだけで満足な人も少なくないのだろう。しかし、もてなす側としては面白くない。我々は公園の中をあちこちさまよった末、やっと一本だけ花をつけている気の早い桜を見つけて、その真下にシートを広げることができた。
 一人子連れで参加してくれた人がいて、おかげで随分とにぎやかな花見になった。車座になって飲んだり食べたりしながら話をしていたら、桜のことなどすっかり忘れてしまった。寒くなってきたので早めに切り上げ、我が家に場所を移して宴会は続いた。皆くつろいでくれて、子供たちも最初のうちこそ緊張しているようだったが、すっかり慣れてはしゃいでいるのを見て、やっと僕も少しほっとすることができた。年を重ねる度に、仲間が顔をそろえる機会をつくることは難しくなっていく。そういうことのために汗をかくことを、僕はそれほど厭わない。普段は人付き合いの良いほうではないけれど。
 数日後、参加したうちの一人から礼状が届いた。予期していなかったことなのでとてもうれしかった。きれいな絵葉書に手書きの文字が並んでいるのをみると、何ともいい気分になるものである。携帯電話だのeメールだのと随分便利な世の中になったけれど、手間をかけるということは大事なことなのだと改めて思い知らされた。手書きの文字を読んだり、相手と顔を合わせて話をしたりすると、文字や言葉以外のことをとてもたくさん伝えたり感じたりすることができる。だから僕も人前で歌を歌ったりするのかもしれません。いろいろと伝わるとうれしいのですが。