道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 暑い季節に申し訳ありませんが、ラーメンの話です。
 日本人の国民食とも言われているラーメンですが、僕ももちろん好きで時々食べたくなります。皆さんいろいろとこだわりがおありでしょうが、僕はそれほど極端なこだわりはありません。だから、ラーメンを食べるという目的だけで、はるばる電車を乗り継いで遠くまで行ったりはしません。近所で美味しいところがあれば、そこにたまに行くだけで十分です。
 子供の頃は、ラーメンでありさえすれば、それすなわちご馳走でした。山間の田舎町に育ったので、週末になるとよく親に連れられて山や川にでかけ、 お昼は街道沿いのドライブインでラーメンということが多かったのですが、いやもうそれだけで心ときめいたものです。あと、たまに家で出前のラーメンをとることがありました。あの銀色の箱に入って運ばれてくるやつです。横板を上に引き上げると、中が棚になっていて、そこからラップで蓋をされたラーメンが玄関にひとつずつ置かれていくと、もう生唾が沸いてきたものです。いずれにせよ、それがラーメンであるということだけで子供は満足でありました。
 東京に出てきて、少し事情が変わってきました。それまではカツ丼とかカレーライスとかと一緒にメニューの中に並んでいる「ラーメン」を選択すればそれで終了だったのですが、東京でラーメンを食べようと思うと、いろいろな選択を迫られるようになりました。まずどの店に入るかを決め、スープや麺やトッピングを選択するといった作業が発生するようになりました。最初のうちは随分戸惑ったものですが、慣れてくるとその多様性を楽しむようになりました。友人たちとそれぞれのこだわりについて語り合ったりすることもありました。そのうちラーメンブームがやってきました。テレビで特集番組が次々と放映され、全国の有名店が続々と東京に進出してきました。僕も何度かそういう店に足を運んだことがありますが、結局行かなくなりました。行列や店主のこだわりといったものに疲れてしまったのです。
 先日、有名店のラーメンを食べる機会がありました。もちろん美味しかったのですが、何となく既製品を食べているような気分になりました。不思議と人の手で作っているような気がしないのです。結局僕にとって、ラーメンというのは近所でみつけたおいしい店で気軽に食べる、というレベルが一番よいみたいです。まあ、ラーメンに限ったことではありませんが。