道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 新幹線は、あっという間に名古屋駅に滑り込んだ。さっき駅弁を食べ終えて一息ついたばかりである。急いで荷物を下ろしてホームへ降り立つ。便利ではあるが、旅情は薄い。改札を出て、乗り換え場所へ急ぐ。名古屋には何度も来たけれど、駅の外に出るのは初めてかもしれない。地元のデパートは、折しも中日ドラゴンズ優勝セールでごったがえしている。少しだけ見物してから、あわただしく地下ホームへと向かう。
 初めての駅で要領もわからず、何となくホームに並んでいると、我々が乗る急行電車が入ってきた。ちょっと昔のロマンスカーを髣髴とさせるレトロな車両である。偶然並んでいた場所が先頭車両だったので、前方の視界も開けていて、なかなか快適である。車内はというと、ロマンスカーとは程遠い簡素な造りで、ちょっと引っ張ったら床から剥がれそうな二人掛けの座席が左右に並んでいる。面白いのは乗客用に設置されたスピードメーター(辛うじてデジタル表示である)で、この車両がデビューした頃、おそらく子供たちはその表示を見つめて興奮していたのだろう。しかし、今は誰も見ていない様子である。僕もしばらく眺めていたが、80キロ〜90キロの間を行ったりきたりしているので、そのうちに飽きてしまった。それよりその程度のスピードで軋む車体の音を聞いている方が、よっぽどスリリングである。そして住民の生活の足であるため、いろんな人が乗っては降りていく。新幹線を補って余りある旅情を存分に味あわせてくれる電車であった。
 三河湾を一望するそのリゾートホテルで、我々は(というか息子は)熱烈な歓迎を受けた。本来の目的は、祖父の米寿のお祝いであったのだが、それが霞んでしまうほどであった。本当に赤子のパワーというのは凄いものだということを改めて思い知らされた。
 今回の旅行でわかったこと。どうやら息子は旅好きであるらしい。家にいるときとほとんど変わらない、というかむしろリラックスしているようにさえ見える。そしてもう一つ。彼は若い女性が好きらしい。ホテルの若い仲居さんにだけ、やたら愛想を振りまいていた。その性格は一体どこから来たのだろうか。僕からでないことは間違いない。たぶん。