道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 「お受験」などと言われると、「けっ!」と思う人も多いと思う。僕もその一人である。有名私立幼稚園なんてものには全く興味がない。そもそもまだろくに記憶も残らないような年齢である。親の自己満足でそんなところに通わせたところで、その子供が幸せな人生を約束されるわけでもない。子供なんて、みんなとワイワイ遊んでいればいいのである。幼稚園なんて近所にあるやつに通わせとけばいいじゃん、なんて気楽に考えていた。
 ところが、どうもそれではまずいらしいということが、次第にわかってきた。特に我が家がある地区には、公立の幼稚園がないのである。ということは近所の幼稚園はすべて私立であり、どの幼稚園にしても面接試験があり、場合によっては入れないこともあるという。さらには試験日程が重複していて、下手をすると幼稚園浪人なんて可能性もあるらしい。いざ自分の子供がそんな事態に陥ったらと考えると、さすがに僕も不安になってきた。そこでいろいろと調べだすと、不安材料が次々に出てくる。ネットにはまことしやかな噂が溢れている。そんなわけで当初の気楽さはどこへやら、僕は不安と焦燥の日々を過ごすことになった。
 一番ストレスに感じたのは、確実に幼稚園に入れるという確証がどこを探しても見つからないことである。「だって、幼稚園ですよ。みんな通ったじゃないですか」なんて田舎者の僕はつい思ってしまうのである。「試験を受けて入園を許可していただく」という立場に置かれていることがどうも納得できないのである。でも、そんなことを言っていても事態は全く好転しないので、僕も都会で子供を育てる親として、現実と向き合うことになった。
 受験料が無駄になることを諦め、併願もした。少しでも印象がよくなるようにと、会社を休んで両親で面接に臨んだ。結果として、当初から予定していた幼稚園に入園できることになった。近所の幼稚園は私立と言ったって、別に何が違うわけでもない。どこにでもあるただの幼稚園である。そこに入園するためになぜこんなに労力と時間を費やさなければならないのか、納得がいかない。
 これから、同じように理不尽さを感じながらも、子供のためにやらなければならないことが数多くあるに違いない。自分自身のことなら、好きなようにやるけれど、自分の判断の結果が子供にふりかかることを考えると、なかなか思い切った決断はできない。でも、どこかに譲れない一線は引いておかなければならない。それは、僕が子供に伝えるメッセージになるはずである。