道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

(詳細はお店のHPでご確認ください)
 ライブハウス・コタン
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道草な話

 ライブハウス・四谷コタンに出演し始めてから、かれこれ20年近くが過ぎた。僕はそれまで他のライブハウスに出演していて、そこをやめて四谷コタンに歌う場所を移したのである。初めて店を偵察に来た時のことは今でもよく憶えている。店の雰囲気に気圧されて客席で小さくなっていると、その日の出演者の人に声をかけていただき、話の流れでオーディションを受けることに決まった。多分、黙って一人で帰っていたら、オーディションを受けなかったかもしれない。声をかけていただいた方には今でも感謝しております。
 それから20年が経ったというのは、ちょっとびっくりである。出演し始めた頃は、そんなに長く続くとは思ってもいなかった。もちろんその間にいろいろなことがあった。多くのすばらしい出会いと、多くの残念な別れがあった。出演者の顔ぶれも随分変わった。気がつくと自分が「古株」の方に所属が変わっていた。自分ではそんな意識は全くないのだけれど、20代の若者からしたら、20年も前から出演しているオジサンは間違いなく「古株」に見えることだろう。そういう位置に自分がいるのだと言うことは、少しは自覚した方がいいかもしれない。そうしないといずれ「迷惑な古株」という箱に入れられてしまう。まあ、入れられてもいいんだけれど。
 20年も続けていれば、さぞかし上達したかというと、そういうものでもないらしい。むしろ最近は衰え(主に記憶力と体力)を感じるようになって来た。生活も変わり、音楽と向き合う時間も減った。月に一回とはいえ、ライブを続けていくのは結構しんどいことでもある。それでもこうして続けているのは何故なのだろうか。惰性も勿論ある。やめるのが怖いという思いもある。それと同時に、やはり楽しいから続けているとも言える。新しい曲ができる時、ステージに座って一曲目を歌い出す時、「これから一体どんなことが起こるのだろうか」という期待で胸が高鳴る。それは歳を重ねた今も変わることはない。
 四谷コタンの周りも随分と様変わりした。文化放送がなくなり、よく打ち上げをした居酒屋もなくなり、古い民家は取り壊され、新しい家の前にはピカピカの輸入車が並んでいる。そんな中、昔と変わらぬ姿で我々を迎えてくれるライブハウスがあることはとても心強い。いつかその灯を消す日が来るかもしれないけれど、きっとその時まで僕は歌い続けているような気がする。もちろん、僕の方が先にくたばるかもしれない。それはそれで悪くない。
 まあ、お互いがんばりましょう。