道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

(詳細はお店のHPでご確認ください)
 ライブハウス・コタン
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道草な話

 ライブハウス・四谷コタンで歌い始めてから、25年近くが過ぎた。25年というのは、決して短くはない。生まれた子供が社会人になるほどの歳月である。そんなに長いこと同じ店で歌っているなんて、やり始めた当初は考えてもみなかった。そもそもこんな歳まで歌を歌っているなんて思わなかった。店自体は僕が歌い始めるずっと前から営業を続けているわけで、ここまでくると立派な老舗である。たいしたものである。
 25年の間に、いろんな出会いと別れがあった。出演者、お客さん、そして店員。現れては去って行った人々。仲良くなった人もいるし、そうでない人もいる。特に出演者に関しては、やはり歌を歌っている仲間という意識があって、人付き合いの苦手な僕でさえ、親しく話をする友人が何人もできた。そんな人たちが、いろんな理由でこの店から姿を消すたびに、寂しい思いをしてきたものである。
 ライブハウスというところは、基本的に野心の旺盛な連中が集まる場所である。彼らの多くは、その先にある大きな成功を夢見ている。当然、そんな人たちにとって、ライブハウスはゴールではない。次のステップへ進むための一時的な居場所である。だから彼らがこの店に出続ける理由はない。しかるべき時期が来れば、皆希望を抱えて、あるいは失意のうちにここを去っていくことになる。そしてまた、新しい出演者がやってくる。そんなサイクルが店の新陳代謝を促している。
 ところが、中にはなんとなく居心地がよくなって、店に居着いてしまう輩がいる。旅することをやめた渡り鳥みたいな奴らである。こういった連中は、放っておけばいつまでもそこに居座ることになる。古株とか主とか呼ばれる存在である。気が付けばその末席に僕も座っている。それがいいことなのかどうかは、おそらく見る人によって随分違ってくるだろう。僕自身にはよくわからない。ただ今のところ、やめる理由が見つからない。
 今年もたぶん12回はこの店のステージに立つことになる。仕事や、暮らしや、体調や、その他諸々と折り合いをつけながら、特別な時間を楽しみたいと思っております。もちろん、聞きに来てくれる人たちにとっても特別な時間になってくれることを、エー、願ってやみません・・・・・・。