道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話(4月)

 毎年恒例の健康診断が今年もやって来た。昔からこの健康診断というのが大の苦手で、考えるだけで心拍数が上がり、胃が痛くなってくる。そのせいか、いつも血圧が上昇し、一時期は本当に高血圧なのではないかと悩んだものである。しかしさすがに20年以上続けてくると、そういうこともなくなった。おかげで最近の血圧は、すっかり正常値で落ち着いている。
 ところが、ここ数年、常に何かで引っかかって再検査を受ける羽目になっている。幸いに再検査で異常なしで済んでいるのだが、なんとなく気味が悪い。まあ年齢を考えれば悪いところのひとつやふたつあって当然と言われるかもしれないが、そういうことを気に病むタイプなので、できれば異常なしで済ませたいと思っている。
 僕が健康診断を受ける病院は、有楽町のかなり年季の入ったオフィスビルの10階にあるクリニックである。古いビルのせいか、最初の頃はよく迷ったり、乗るエレベーターを間違えたりして(高層階行きと低層階行きがある)、予約の時間に遅れそうになって焦ったりした。そして検査が始まれば、ベルトコンベア式にあっちへ行けこっちへ行けと追い回される。いずれにせよ、すべてが終わって解放されると、心の底からほっとする。
 そんな健康診断の僅かな楽しみが、終了後の一服と、クリニックから支給される食券での食事である。以前はビルの地下街にある喫茶店でハンバーグ・ランチを食べ、セットのコーヒーを飲みながら煙草をふかすのが至福の時間だったのだが、何年か前にその店がなくなってしまい、それ以降はビルの喫煙ルームで一服してから、食券の使える食堂へ行くというパターンになった。それでもそれがしあわせな時間であることに変わりはない。今回も一服してから、食堂へ向かったのだが、店に入る直前に食券が見当たらないことに気付いた。それをなくしては、昨夜からの努力がすべて水泡に帰すのである。(大袈裟だな。)僕は道端でスーツやコートのポケットをチェックし、鞄を開けて中のものを取り出して必死に探した。しゃがみこんだ僕の脇をサラリーマンたちが次々に通り過ぎる。何か仕事の大事な書類でも忘れてきたと思われているのかもしれない。まさか小さな食券一枚を必死に探しているとは思わないだろう。そう思うとなんだか自分がみみっちい人間に思えてくる。
 鞄の一番下から出てきました。ええ、とてもほっとしました。