道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

表舞台からいつの間にかいなくなってしまった人達は、たぶん星の数ほどいる。ミュージシャンもまたしかり。ヒット曲を出した人から、メジャーデビューはしたけれどメディアに取り上げられることもなく、何枚かアルバムを出しただけで消えてしまった人まで様々である。一時期結構熱心に聴いていたんだけど、いつの間にか聴かなくなって、気がついたらメジャー契約を打ち切られていたなんてことはよくある話だ。そんな人たちが今どこでどんなことをしているのかを知ることは、決して難しいことではない。インターネットで検索するだけでいい。良い悪いはわからないが、簡単な時代である。

最近、ふと思い立って動画サイトで二人のミュージシャンを検索してみた。二人とも僕が一時期かなり熱心に聴いていた人たちである。彼らの消息はすぐに分かった。そしてどうやら二人ともまだ音楽活動を続けているようである。ただし、メジャー契約ではなさそうだ。ライブ映像を見る限り、手作り感がひしひしと伝わってくる。果たして彼らは今、音楽だけで生活できているのだろうか。そもそもそういう世界に関わったことがないので(関われよ、少しは。)、その辺の感覚はさっぱりわからない。しかし少なくともメジャーでバリバリやっていた頃に比べれば収入が減っているのは間違いないだろう。ライブ開場だって小さくなっているし、お客さんの数も減っている。本人たちはいったいどんな気持ちで歌を歌っているのだろうか。少なくとも最初のうちは相当ショックだったに違いない。誰だって落ちぶれていくのは楽しくないだろう。しかし、最近の映像を見る限り、彼らはけっして劣化してはいない。少ないお客さんの前で、昔と変わらず熱いステージを見せている。それは僕にとっても嬉しい驚きだった。

彼らはきっとわかっているのだ。自分にとって一番満ち足りた時間は、音楽の中にあるのだということを。言葉やメロディと格闘し、新たな歌を手に入れる快感を。そしてそれを観客の前で演奏できる喜びを。落ちぶれたとか、悪あがきだとか言われても彼らはさほど気にしないだろう。そもそも向いている方向が全然違うのだから。そしてそれは彼らにしかわからないものなのだから。

ゴールが「成功」である人たちはさっさと足を洗って、他の道を歩き出しているだろう。それはそれで正しい選択である。いや、むしろその方がずっとまともな考え方なのだろう。でも、そういう風に考えられない人もいる。