道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 東京に暮らしていれば、騒音はつきものである。車の音がうるさいとか、上の階の足音が気になるとか、そんなことを言い出したらキリがないので、そこは許容範囲内なら我慢するしかない。田舎に比べたら、みな宵っ張りなので、まあ午前0時くらいまでは許そうかとか、物流を担っている皆さんの車の音は深夜でも我慢しましょうかということになる。いちいち腹を立てていたらとてもじゃないが暮らしていけない。そういう人は、立派なマンションや大邸宅に住むか、郊外に引っ越すしかない。

 工事の騒音もその一つである。昼間はできない工事を夜中にやるのは仕方がない。しかしそういった場合は、大抵お知らせが張り出されたりするのだが、最近告知もなく深夜に工事の騒音が響き渡る夜が続いた。音の感じからしてうちのマンションの周辺であるが、何の告知もない。いったい誰がどこでしているのか気になった。たまたま夜中にゴミ出しに行く機会があったので、ついでにどこで工事をしているのか確認してみようと考えた。(あくまでも確認です。クレイマーではありません。)

 マンションの周囲を一回りしてみたが、人影さえ見えない。しかし工事はすぐ近くでされているようだ。狐につままれたような気分になったが、思い直して探索の範囲を広げてみた。すると、マンションから離れるにつれて、違った方角から音が聞こえてくることに気付いた。そして辿り着いたのは、近くを通っている新幹線の高架であった。明々とライトが灯り、盛大に重機が稼働している。なるほど、これか。

 その新幹線の高架とうちのマンションの間には高い建物がない。そしてうちのマンションはその高架に対して「くの字」に正対している。つまり、新幹線の工事の騒音が、家のマンションにまっすぐぶつかって、その上「くの字」の部分で反響して増幅され、まるですぐ近くで工事しているように聞こえたのである。音の伝わり方ってすごいですね。

 僕はすっかり納得して帰路に就いた。しかし自分が深夜徘徊する不審者になっていることには全く気づいていなかった。