道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 ついに、実に久しぶりに温泉旅館に宿泊することになった。何年ぶりだろうか。法事で実家に帰るついでに、せっかくだからということで近くの温泉に入ろうと思ったのである。ただ、やはり大浴場は怖いので、貸し切り風呂のある旅館にしようということになった。気休めであることはわかっている。しかし気休めが背中を押してくれることもある。検索してみると、一軒だけ興味を惹かれた宿が見つかった。貸切風呂が三つ、古民家を改装した趣のある居室、京風懐石の夕食が美味であるという。少し値段は張るが、久しぶりということで奮発することにした。

 法事に関連した用事が長引いて、宿に到着したのは夕食の時間の直前になった。それでも一ッ風呂浴びてからと、急いで貸切露天に入ることにした。もう暗くなっていたけれど、冬の信州の清冽な空気と、何より久しぶりの温泉に十分満足して夕食の席に着いた。

 到着した時から少し感じていたのだけれど、宿の人達が何となく素人臭いのが気になっていた。決して客あしらいが悪いわけではない。しかし、どこかこちらが気を使ってしまうような雰囲気があった。その思いは夕食になって更に強いものになった。確かに運ばれてくる料理の数々は手の込んだものばかりである。地元の素材を取り入れる工夫もある。しかし何となく味が素人臭いのである。京風が薄味であるのはわかる。しかし、「味が薄い」のと「薄味」は全く違う。僕は何度か首を傾げながら卓上の調味料を使うことになった。勿論おいしいものもたくさんあったのだが。古民家を改装した居室も面白かったが、居心地がそれほど良かったわけではない。三か所の貸切風呂は大満足。そしてしっかり味付けをした朝食は美味であった。

 結局、久しぶりで期待しすぎたのだろう。ネットのコメントに踊らされた部分もあった。それでも宿に泊まるというのは楽しいものである。いい思い出もそうでない思い出も、しぱらく僕の心を暖かくしてくれる。また、どこかに泊まりに行きたい。