道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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春の別れ

 僕にとって大切な友人達が、この春東京を去った。いずれも訳あって、故郷へ帰っていった。もっとゆっくり別れを惜しみたかったのだが、このご時世、何とも歯痒い思いである。
 故郷とは何か。そこは自分が生まれ育った場所であり、帰りを待っていてくれる人がいる場所である。懐かしくもあり、何となく恥ずかしい場所でもある。故郷を離れた理由は人それぞれだ。僕の場合は、とにかく親元を離れたかった。一人になりたかったのである。戻るつもりもなかった。
 だから僕にとって故郷に帰ることは、気が重い行事だった。それがいつからか楽しいことに変わったのは、子供の存在が大きいのかもしれない。家族を連れていると自分も観光客のような気分になる。そう思って見ると、故郷はなかなか魅力的である。空気はおいしいし、自然は美しい。
 歳を重ね、両親は他界し、実家もももうすぐなくなる。帰る場所が無くなると思うと、何となく心細くなる。何を今更と思うのだが、やはり心のどこかでそれを求めていたのだろう。
 しかし時間と物事は容赦なく進んでいく。僕にできることはとても限られている。
 ふるさとへ帰っていった人達が、そこで迎え入れられ、幸せに暮らせることを祈る。残った僕らは、彼らのことを時々思い出しながら、ここで今までどおりに暮らしていく。お互い、上手くいくといいんだけれど。