道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 僕はそれなりの企業に内定し、4月から入社したという経験がないので、新入社員というものがどうもよく理解できない。なぜあんなにスーツが似合わないのか、なぜいつも大人数で群れているのか。そしてなぜ楽しそうに騒いでいるのか。
 僕の勤め先の辺りも新入社員が大量発生している。昼時になると彼らが街にあふれ出し、どこもいっぱいになる。普段入れる店に入れなかったりもする。先日、通りかかったコンビニの前に15人くらいの集団がたむろして煙草を吸ったり騒いだりしていたのを見かけたときは、さすがに驚いた。まるで小学生である。どうか、年寄り臭いと思わないでいただきたい。本当に幼稚に見えてしょうがないのである。いったい彼らは20数年間どんな人生を送ってきたのだろうか。僕には関係ないけれど、あんなのを大量に抱えて、それを育てていかなくてはならない企業の皆さんは大変ですね。どうか頑張ってください。
 とはいえそれもこの時期の風物詩である。しばらく我慢すればみんなどこかへ行ってしまう。どこへ行ってしまうのだろう?みんな立派な社会人になってそれぞれの勤務地へ散っていくのだろうか。それとも不思議な笛に誘われて、楽しげに踊りながら次々に川へ飛び込んでしまうのだろうか。
 僕が学生時代を終えて、初めてやった仕事はせともの屋のバイトで、店員としてお客に話しかけ、あることないこと言って客に器を買わせる仕事だった。もちろん営業ノルマもあって、僕は3日で挫折した。面接の時に、店のおかみさんが「この人、すぐやめそうだから雇わないほうがいいわよ」とご主人に言っていたのを今でも憶えている。そのときはカッと頭に血がのぼったけれど、事実そのとおりになったのだから彼女の人を見る目は正しかったことになる。
 それで結構落ち込んで、しばらく家でゴロゴロしていた。将来のことなんて考えられなかった。とにかく金がなくなる前に次の仕事を見つけなければいけない。アルバイト雑誌を見て面接にでかけ、事務系のアルバイトをはじめた。こちらのほうはどうにか続いて、生活もやっと安定した。それから人材派遣の仕事について、念願の風呂付きの部屋に住めるようにもなった。そうやって今日までどうにか暮らしてきた。だから彼らが羨ましいのだろうか。いや、そういうことではないです。昔から、群れて騒いでいる集団が好きではないのです。
 いや、だから羨ましいんじゃないの。え?そうなの?いや、えーと。
 新入社員の皆さんの前途に、幸多きことを願ってやみません。