道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 プロ野球のナイターを観戦に行った。生でプロ野球を見るのは二回目で、神宮球場は初めてである。昔東京ドームに行ったときの印象があまりよくなかったので、何となく不安もあったのだが、思いのほか楽しい時間を過ごすことができた。
 地下鉄の駅を出ると、すでに人々が球場に向かって歩いている。道沿いの店はそれぞれに露店を出して、ビールやら弁当やらを売る声が響いている。入り口の近くにはダフ屋もいたけれど、某人気球団の試合でないせいか、人数も少なく、声にも張りがない。もう試合が始まっていたせいもあって、入場もスムーズであった。僕らの席は外野自由席だったが、程よく空いていて、意外とグラウンドが近くに見える。「まぁ、好きなところにテキトーに座って、思い思いの楽しみ方で過ごしてくださいね」といった空気が漂っていて、なかなか悪くない。
昔東京ドームの内野席で観戦したときは、試合に熱中して盛り上がることを強制されているような空気があって居心地が悪かった。コンサートなんかでもそうなんだけれど、密閉された場所にぎっちり詰め込まれて、熱狂することを強要されるというのが僕は苦手である。自分のペースで好きにさせてもらいたい。その点、屋外でそこそこ空いている後ろの席、というのはかなり気楽である。周りの人たちも思い思いの楽しみ方で時間を過ごしている。一人で座ってニコニコしながらビールを飲んで、売店で何か買ってきて美味そうに食べているサラリーマンや、ユニフォームを着てメガホンを持ち、選手ごとの応援歌をちょっと控えめなトーンで歌っている親子連れや、贔屓の選手の名前を連呼し、相手チームに野次を飛ばし、ビール売りの女性にちょっかいを出すといった典型的な酔っ払いの集団などが同居している光景は、グラウンドの試合以上に興味深い。自由っていいですね。
 試合は乱打戦となり、贔屓のチームは負けてしまったけれど、僕は結構満足していた。試合終了と同時に、グラウンドに乱入する客を阻止しようと、スタッフが配置についたけれど、周りの人たちも特に殺気立ったり、落ち込んだりした様子もない、「あー、終わった、終わった」といった感じで出口に向かって歩いていく。
 ふと空を見上げると、いつの間にか月が真上にあって、その脇をカモメが一羽ゆっくりと横切っていった。