道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 近所のコンビニエンスストアの店長が代わった。普通ならそんなこと気づきもしない。そもそも前の店長が誰かさえも知らない。それなのに何故今回の店長交代を知ったかというと、ポストにチラシが入っていたからである。そのチラシは手作りで、様々なキャンペーンの情報が書かれており、そのうえ店長の顔写真まで載っていた。50代くらいの几帳面そうなおじさんである。そんなに大々的に店長交代をアピールするコンビニなんて見たことがない。何となく違和感を覚えた。
 そして実際に店長交代の日が来たらしく、キャンペーンが始まった。前の駐車場で新店長の奥さんとおぼしき人が、子供たちに笑顔で風船を配っている。店内では本部らしきところから来たヘルプのスタッフが溌剌と働いている。そして問題の新店長はというと、レジを捌くベテランスタッフのやや斜め後方で石のように固まっている。見たところ、「事務処理系のサラリーマンを長年務め上げてきました。接客業なんてものには全くの不案内です。」という顔をしている。まあ、でも理由はともあれ新しいことにチャレンジすることになったのだから、必死でやって欲しいものだと思いながら、店を出た。
 それ以後、その新店長には全く成長の跡が見られない。まずほとんど店内で見かけたことがないし、稀にレジに佇んでいる時もあるのだが、全く覇気が感じられない。客が来ても「いらっしゃいませ」の一言もなければ、買い物をした客に「ありがとうございました」も言わない。もちろん笑顔など無い。はっきり言って、買い物に行ってその店長がレジにいると憂鬱な気分になる。以前からのスタッフも残っているのだが、何となく店内の雰囲気も良くない。まあ、立地的にはそんなに競争の激しい所でもないので、それで潰れるということも無いだろうけれど、少なからず売り上げに影響が出そうな気がする。
 彼は一体どういう事情があって、コンビニエンスストアの店長なんてものになったのだろうか。僕は何となく、彼自身が望んで選んだとは思えないのである。何らかの理由でサラリーマンを続けることが出来なくなって、それでもまだ住宅ローンが残っていて、どうしようかと悩んでいる時に、押しの強い奥さんから「コンビニの店長なんてどうかしら、私も応援するから!」なんて言われて、ついフラフラと同意してしまったのではないだろうか。きっとそうに違いない。そう考えると、多少の同情も禁じえないのだが、利用客の一人としては、早く店長がまた交代してくれることを切に望むのであります。