道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 二子玉川の象徴といえば、高島屋である。通称「タマタカ」という。何にも無い川っぺりの田舎町に出来たそのデパートは、紆余曲折を経てすっかり二子玉川の顔となり、更には町のイメージアップにも大いに貢献してきた。その周辺も次第に整備され、オシャレな店も出来たけれど、そのエリア以外は相変わらずの田舎町で、駅の反対側なんてびっくりするくらいに何も無かった。うらぶれた商店やラーメン屋が点在するだけの、埃っぽい町並みが続いていた。一応、東急ストアと小さい東急ハンズがあって、それはそれで結構便利だった。つまり駅を挟んで、片や高島屋エリア、片や東急エリアといった構図である。東急エリア側が貧弱なことは、それでいいと僕は思っていた。僕の中のイメージとしては、東急グループというのはどちらかというと庶民的で、やることなすこと今ひとつ垢抜けないといった感じである。それが地域密着感につながっていたような気がする。
 ところが数年前から、駅周辺の再開発がいきなり始まった。駅前にあったコマコマした商店がきれいさっぱり無くなり、お気に入りのインド料理屋も姿を消した。そして相当な面積の更地が出来上がり、それらは全て幕で覆われてしまった。しばらく巨大なクレーンの聳え立つ日々が続いた。
 そのうち、二子玉川駅周辺が、巨大な複合施設として生まれ変わるという話が伝わってきた。どうやら東急グループが本腰を入れて、二子玉川を再開発することになったらしい。しきりにテレビや雑誌でも広告を打っている。しかしそれらを見ても何だかイメージが沸かない。東急グループ二子玉川をどうしたいのだろうか。
 そして、先頃いよいよその全貌を現しつつある「二子玉川rise」に行ってまいりました。ひとことで言ってしまうと、ただのオシャレな駅ビル群とそれに直結したマンション群である。「僕たちだってその気になれば、オシャレなものを造れるのさ」という声が聞こえてきそうな雰囲気ではある。そして入っている店舗を見る限り、以前あった店は大体そのオシャレな駅ビルの中に復活しているようだ。たぶん取り壊された住宅街に住んでいた大勢の人達も、優先的にマンション群に入居するのだろう。人は残って容れ物が変わったわけである。しかし果たして人々はこの変化を望んでいたのだろうか。
 僕たちは新しくなったインド料理屋で久しぶりに食事をした。働く人達も、そして料理も何となく居心地が悪そうだった。