都心から程近い避暑地はどこか?軽井沢は少し遠すぎる。おまけに何となくエラそうである。那須高原も程近いとは言い難い。あまり時間も交通費もかからないほうがいい。といった訳で、我が家の今年の夏休み家族旅行は箱根に決定したのである。
しかし、僕の記憶では、夏の箱根はちっとも涼しくないのである。そこで改めて箱根の観光案内などを見直してみると、どうやら奥の方まで行かないと涼しくないらしい。そこで今回は箱根の表玄関(湯本〜強羅)ではなく、仙石原の方に宿をとることにした。そこまで行って涼しくなかったら、まあしょうがない。ところが、いざネットで見てみると、夏休みになると、どの旅館も宿泊費がはね上がっている。僕は前からとても違和感があるのだけれど、どうして夏休みや冬休みの期間に料金が高くなるのだろう。その期間しか休みが合わない子連れの家族を狙った実に姑息な商売の仕方に見えてしまう。普段より大勢の人が押し寄せるのだから、儲けも相当なものだろう。むしろ、そういう期間だからこそ、料金を下げてみたらどうかと思う。
まあ僕がそう思ったところで何も変わらないので、仕方なくグレードを落として宿を探すことになる。その中でも比較的ましだと思われるホテルを予約した。ネットの口コミも概ね好意的である。ただ、「外国人が多い」というコメントをやたら目にする。安くて外国人が多いホテル?一体どんなホテルなんだろう。一抹の不安を抱えながら、お盆過ぎの箱根を訪れた。
強羅までは都心と変わらぬ猛暑であったが、ロープーウェイで大涌谷まで来ると突然空気が変わった。とても涼しいのである。一山越えただけでこんなに違うものかと驚かされた。ホテルに着いたときも同じことを感じた。窓を開け放つと、清涼感たっぷりの風が流れ込んでくる。「ああ、避暑地に来ているんだな」と感じさせられる幸せな瞬間であった。
そしてこのホテルがなかなか良かった。小さな、どちらかというと粗末な建物で、フロントの対応もそっけないけれど、何となく「好きに使ってくださいね」という雰囲気が漂っていて気が楽である。食事もおいしい。そして口コミにあったとおり外国人の客が多い。そのせいか、日本人団体客特有の騒がしさというものが全くない。大浴場の湯船にひとりで浸かる初老の白人男性の姿というのも、なかなかお目にかかれない光景である。
夏の奥箱根、想像以上に快適でございました。