道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

(詳細はお店のHPでご確認ください)
 ライブハウス・コタン
 ホームページはこちら
          

道草な話

 しつこい梅雨が続く週末、突然訪れた晴天の日曜日に、江ノ島へでかけた。もう何度も足を運んでいるけれど、息子を連れて行くのは初めてのことである。
 比較的近い景勝地で、海が見たい時によく訪れている。もちろん東京にも海はあるのだけれど、少し足を伸ばしただけで、その色も力強さも随分と違ってくる。ほとんど地続きだけれど、いちおう島である。島好きの僕としては、それだけでワクワクしてしまうのである。
 藤沢で東海道線を下りて、江ノ電に乗り換える。その前に駅前のデパートでお昼のお弁当を仕入れることにする。江ノ島周辺にも飲食店はいっぱいあるのだが、どこも大混雑だからである。前回行った時は、家で弁当を作って持っていって、島の頂上(?)にある公園で気持ちの良いお昼ご飯を食べた。今回もそこでお弁当を食べる計画である。
 江ノ島の駅から、島へ渡る橋に辿り着くまでが結構ある。そして長い橋を歩いて渡り、江ノ島名物「エスカー」の乗り口に辿り着くまでに僕らはかなり消耗していた。真夏のような太陽が容赦なく照りつけ、のどはカラカラである。僕は頂上の売店で売っているソフトクリームを食べることで頭がいっぱいになっていた。エスカーを乗り継ぎ、頂上へやってくると、僕らはいつもの場所へ向かったのだが、驚いたことに様子が一変していた。以前は屋台のような売店が立ち並び、その周りに置かれた沢山のイスやテーブルを自由に使えたのだが、その場所がほとんどなくなっていて、一番景色の良い場所がレストランになっている。つまり、良い景色をゆっくり眺めたければ、レストランに入ってお金を払ってくださいというわけである。もちろんそういう店は周囲にたくさんあるのだが、そこだけは開放的な場所で、誰でも景色を楽しめたのである。僕らは何とか木陰のベンチを見つけてお弁当やアイスクリームを食べたのだが、何となく釈然としなかった。江ノ島の観光ビジネス事情がどうなっているのか知らないが、つつましい親子連れの楽しみを奪わないでほしい。
 昼食後は海岸へ出てみることにした。江ノ島の裏側の海岸は岩場になっていて、太平洋の荒波が打ちつける、なかなかダイナミックなところである。怖がりな息子は、僕の傍を離れない。潮溜まりにいる小さなカニを見つけて喜んでいる。危ないところへどんどん行ってしまわないのは、安心でもあり、少し寂しくもある。
 束の間の、のどかな休日でした。