道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 北陸新幹線が開業した影響か、それとも朝ドラのブームがようやく下火になったのか、ゴールデンウイークだというのに我が故郷、信州・安曇野は思いのほか観光客の姿が少なかった。帰省に利用している特急電車も比較的空いていて、例年だと山ほどいる登山客もまばらだった。いつもだったら「こいつ等さえいなければ・・・」と恨み節のひとつも出るところだが、こうも空いているとちょっと心配になる。まあ僕が心配したところでどうなるわけでもないのだけれど。
 久しぶりに実家に帰って、特に大きな変化がないのにひと安心する。幸いなことに両親とも、まだ実家で自力で暮らしている。父は糖尿病が持病で、毎年少しずつあちこちが悪くなっているのだけれど、それでも自分の家で生活できているのだから、ありがたいことである。ただ、最近は帰るたびに自分が死んだ後の話ばかりするので閉口する。
 そんな年寄りに車を出してもらって、山の上でバーベキューをすることになった。有名な場所はこの時期どこも人でいっぱいなので、あまり知られていないところに行こうという話になった。その結果、両親もあまり知らないという山へ出かけることした。車を降りて、人もまばらな山道を歩く。空気を吸い込むと、山の匂いが胸いっぱいに広がる。開けた場所に出ると、眼下に箱庭のような安曇野の風景が広がり、その向こうに残雪を戴く北アルプスの峰々が聳え立っている。山の木々は新緑に彩られ、いろんな花々が咲き誇っている。文句なく素敵な風景である。予約した山荘に着き、バーベキュー施設に行くと、先客もおらず、窓から雄大な景色を眺めながらのんびりと食事をすることができた。しかも料金は驚くほどの安さである。しばらく休んだ後、近くの温泉に寄り、汗を流して帰路についた。
 帰り道、車に乗っていて、何度か「危ないな」と思う場面があった。父は目の具合が悪く、運転しづらそうである。それに来年は80歳になる。助手席に座っていて、反応が鈍くなっているのがわかる。しかし、田舎は車がないとどうにもならない。車が運転できなくなると生活が非常に制限されてしまうことになる。そしてそういう事態が遠からず訪れることは、避けることのできない事実である。そうなった時に、僕に何ができるのだろうか。年と共に、楽しくはないけれど、考えておかなければいけないことが増えていくのを感じた休日でありました。