道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

 今を遡ること20年前。練馬の僕のアパートにやって来た3人は、明らかに怪しい人たちだった。目つきは悪い、服装も悪い、そして話しかけたらぶん殴られそうなオーラを漂わせている。そんな3人と六畳一間で鍋をつつきながら酒を飲み、音楽の話をした。そしてその日のうちにすっかり仲良くなっていた。その4人で「MISOJIES」というバンドを始めた。ちょうど皆30歳位だったからである。オリジナル曲を作り、いろんな場所へ旅をしてライブをやった。CDだって作った。新聞だって発行した。決して上手なバンドではなかったし、ドラムもいなかったけれど、そこそこ評判は良かった。お客さんから「楽しい」と言われた。それはきっと、僕たち自身が楽しんでライブをやっていたからだと思う。勿論、バンドの中ではいろいろあったけれど、この4人でステージに立つと、何というか、ワクワクしたのである。
 3・4年続いたバンド活動も、諸々の事情で自然消滅した。はっきり解散をしたわけではない。ただ単にやらなくなっただけである。
 それから20年の月日が流れ、再び4人でスタジオに入ることになった。生憎の春の嵐の中をやっとの思いでスタジオに辿り着くと、懐かしい顔が迎えてくれた。見た目は確実に20年分劣化している。しかし、まるで昨日会ったかのように会話が始まる。勿論、それぞれに時々顔を合わせてはいたのだけれど、やはり4人が集まると、そこに不思議な空気が生まれるのである。
 スタジオに入って、セッティングをして、思い出しながら演奏を始める。みんなおっかなびっくりである。それでも次第に以前の感覚が蘇ってくる。演奏しながら僕は他の3人を見回して、一種の感動に包まれていた。またこうしてこの4人で演奏していることが信じられなかった。そもそも4人ともそれぞれソロで活動していたわけだし、やってる音楽や好みもバラバラである。それなのに何でこんなにしっくりくるのだろうか。
 練習が終わって、会計を済ませると、それぞれ時間を気にしながら帰路についた。以前なら、間違いなくそのまま怒涛の飲み会に突入するところである。今はもうそんな時間的余裕も、気力も、体力もない。それが20年経過した時点での現実である。いろんなことを潜り抜けて、いろんな目にあって、だからこそ、またこうして集まることができたのかもしれない。