道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

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 ライブハウス・コタン
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道草な話

宇奈月温泉黒部川沿いに佇む温泉街である。こぢんまりとした温泉街で、落ち着いた佇まいの旅館や店が並ぶ。温泉と共に有名なのがトロッコ列車である。黒部峡谷を縫うように走るその車窓からは、雄大な自然が堪能できる。迷走台風がやっと立ち去った8月の初旬、富山の親戚の家へ遊びに行った帰りに、この温泉街に一泊することになった。目的はトロッコ列車に乗ることである。北陸新幹線ができて、東京から宇奈月温泉まで2時間30分程度で行くことができるようになった。ただ、今回は富山の親戚の家からローカル線で行ったので、富山県内の移動だけで2時間近くかかってしまった。何となく釈然としない気分で、僕は宇奈月温泉の駅に降り立った。
僕らの泊まる旅館は黒部川沿いにあり、部屋の窓からの景色は素晴らしかった。温泉もサラサラとした気持ちの良いお湯である。ただ、夕食のバイキングにはちょっと疲れてしまった。息子が喜ぶので、最近はバイキングの夕食を出す旅館に泊まることが多いのだが、正直、そんなに美味しいと感じたことはない。そもそも、客が群がっている中に入って行って、争うように料理やデザートを取ってくることにぐったりしてしまう。おまけに取りたいだけ取って、結局食べきれない息子の料理を片付けたりしていると、いつの間にかお腹いっぱいになってしまっている。そして釈然としない満腹感とともに部屋に戻ることになるのである。まあ、コストの問題とかあるんだろうけれど、やはり料理は部屋出しで、一つ一つゆっくりと楽しみたい。同じ料理でも山と積まれた大皿から取ってくるのと、器に丁寧に盛り付けられたものとでは、食べる方の感覚が全く違う。次こそはと決意を新たにする。
さて翌日はトロッコ列車である。かわいいオレンジ色の機関車の後ろに、遊園地で見かけるような屋根と座席だけの客車が繋がっている。背もたれのない座席で1時間30分ほど揺られていると、さすがに腰が痛くなる。しかし深い谷間をのんびりと走る気分は悪くない。そしてトンネルに入ると冷蔵庫のように涼しい。終点で降りて、川沿いの山道を1時間ほど散策する。帰りの時間を気にして急いで歩いたせいもあるのだが、僕は昔に比べて体力が著しく低下していることを認めないわけにはいかなかった。このままでは、早晩息子に太刀打ちできなくなるだろう。体力をつけねば、と決意を新たにした。
帰りの新幹線は爆睡で、車窓を眺めることもなく、無事東京に帰還した。