道草の友(シンガーソングライター・大久保雅永の日々)

ライブ情報: 4/13(Sat)open:17:30 start:18:00 ライブハウスコタン(20:00頃出演)

(詳細はお店のHPでご確認ください)
 ライブハウス・コタン
 ホームページはこちら
          

道草な話

 夏真っ盛りである。夏休みといえばプールにスイカにラジオ体操というのは昔の話。毎日熱中症警戒アラートとかいうものが発令され、屋外での行動を控えるようにと言われる。息子ももうプールに行くこともなく、塾だの部活だのの毎日である。部活だって熱中症を警戒して、グラウンドが使えず、体育館を譲り合って使っているらしい。

 正直、休日だからといってなかなか日中に外出する気になれない。買い物なんかは日が陰りだす夕方から出掛けることにしている。皆同じことを考えているようで、夕方になるとマンションのあちこちから人が出てくるのがわかる。窓から眺める夏空はとても気持ち良さそうで、何だかもったいないような気もするけれど、まあ仕方がない。

 兄からやっと実家が売れたよと連絡があった。住む人がいなくなった実家は、ずっと兄が手入れをしながら買い手を探していたのだ。これで僕は帰る家がなくなった。寂しいかと聞かれれば、それは寂しい。しかし、正直なところそれほどでもない。僕の家は何度か父の転勤の都合で引越しをしている。最終的に今実家がある場所に落ち着いたのだが、どこかよそ者感が拭えない。我がふる里とは言い切れないところがある。僕にとっての「兎追いしかの山」や「小鮒釣りしかの川」は違う場所にあるのだ。なんとももどかしい話だが、だからと言って親を恨む気にはならない。皆それぞれいろんな都合があって生きているのである。僕だって同じことだ。人に文句を言える立場ではない。全然ない。

 東京で暮らして、歳を重ねて来ると、時々ふと、ふる里に帰りたいと思うことがある。しかしその時に僕の頭に浮かぶのは、漠然としたイメージである。そこには昔暮らした場所のいろんな風景やテレビや映画で見た風景が混ざり込んでいる。息子はどうだろう。将来ふる里と言われて、今住んでいるマンションを懐かしく思い起こすだろうか。うーん、わからん。